利潤第一主義の問題

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利潤第一主義の問題

ここまでお読みくださった読者様におかれましては、「そんなことを言っていたら食べるものがない」とお考えの向きもいらっしゃいましょう。

確かにごもっともです。

しかし、これまでにも書いてきましたとおり、食品偽装表示の多くは、「高級食材を安く食べたい」という、ある意味理不尽な消費者の欲求に応える形で発生してくるケースが多いのです。

生産者にしても販売店にしても、赤字を出してまで高級食材を安く販売するはずもありません。

消費者のほうでも「この霜降りすき焼き肉が安いのは、きっと流通過程での中間マージンを省いたりする企業努力で成し遂げているに違いない」などと考えてしまいがちです。

しかし、消費者の期待に反して、安い霜降り肉は、牛脂人工注入によって製造された加工食肉である場合が多いのです。

そして本来、それは責められるべきではありません。値段の安い部位の肉を加工して美味しい食材を製造したのですから、鮮度保持やBSE問題、そして添加物の安全性の問題をクリアしていれば、消費者の利益になるはずなのです。

しかし、経営者やミドルマネジメントに悪魔が忍び込むと、「人工霜降り肉は少々高くても売れる」→「高く売れ」→「どうせなら山形産ということにしてもっと高く売れ」という具合に偽装表示が発生してきます。

また、最近になって知られるようになってきましたが、鮮魚類の多くは本物によく似たまがい物であるケースも多いです。

例を挙げると、シシャモとして売られている魚の多くは、シシャモによく似た「カペリン」という魚ですし、鯛として売られている魚の多くは、鯛によく似た「ティラピア」という魚です。いずれも現在はJAS法の改正により本来の名称で表記しなければならなくなりました。

しかし消費者の側でも、またまた「大漁旗を掲げて寄港してくる兄弟船」の幻想がありますから、それぞれシシャモ(カペリン)、マダイ(ティラピア)などと表記して売られています。これらも栄養価が十分にあって美味しくて安ければ消費者の利益になるはずのものです。

このように、食品偽装は、罪科の少ないものもあれば、完全なコンプライアンス違反のものまで、様々です。いずれも共通しているのは、利潤第一主義に帰結することだと言えましょう。

次章では偽装表示をいかにして見分けるか、比較的平易に実践できる鑑定法をご紹介したいと思います。

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